原子力事業者に課税 独政権の財政再建計画

ドイツのA.メルケル政権は7日、来年から2014年まで4年間の財政再建計画の中で、原子力事業者に対し年間23億ユーロの課税を検討していることを明らかにした。既存原子炉の運転期間を延長する交換条件と見られていることから、7月に公表される国家エネルギー計画の中で具体的な政策変更が示される可能性に期待が高まっている。

ドイツでは国内で稼働する原子炉17基のうち、ネッカー、ビブリスA、イザールなど、5基の原子炉が数年以内に法定の発電枠を使い切り、強制閉鎖期限を迎える。稼働中原子炉の運転期間延長は現政権の公約の1つでもあるが、国民の反原子力的な認識をはばかり、運転期間延長の見返りに何らかの形で拠出金を求めてくるであろうことは分析家の間では概ね予測されていた。

総額800億ドルの経費削減を目指した財政再建計画の中で同政権は、「助成金の減額と環境保護関係の計画見直し」の項目で、「総合的なエネルギー政策の一環として、原子力発電所の運転期間を延長するには負担金が必要だ」と指摘。 「CO排出量削減のためのコスト上乗せで電気料金が増額され、原子力発電事業者は余剰の利益を得ることになる」と強調しており、「これだけでも原子力事業者への新たな課税は正当化される」と言明した。

また、原子力発電所の廃止措置やアッセU廃棄物処分実験場の清浄化コストについても事業者が公平に負担すべきだと説明している。


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