インドとカナダ 原子力協力協定に調印

インドとカナダの両国政府は6月27日、原子力平和利用協力協定(NCA)に調印した。カナダの原子力産業が急成長の見込まれるインド原子力市場にアクセスしたり、合弁事業を立ち上げる際の法的枠組みとなるもので、双方の国内批准手続きを経て発効する。

今回の調印は、カナダで20か国・地域(G20)首脳会議が開催されたのを機に、両国首相同席の下で行われた。NCAにより、カナダは国際原子力機関(IAEA)の保障措置下にあるインドの民生用原子力発電施設について協力が可能。取引される核物質や関連機器、カナダが開発した技術等は平和利用目的となることが国際条約レベルで保障される。

また、シン首相が出発する前のインドでのブリーフィングによると、原子力の農業、医療、工業各分野での開発利用のほかに放射性廃棄物管理や原子力および放射線分野での安全確保、環境防護など、幅広い分野で協力していくとしている。

カナダは1960年代〜70年代にかけて、重水を減速材に使用するCIRUS研究炉や発電用CANDU炉1基(ラジャスタン1号機)をインドに供給。しかし、インドがCIRUS炉の使用済み燃料からプルトニウムを抽出し、1974年に核実験を実施したため、翌年から同国への原子力援助を停止していた。

インド側はその後、ラジャスタン1号機の技術をベースに自主開発した加圧重水炉を中心とする原子力利用を推進。08年に原子力供給国グループ(NSG)が同国への原子力資機材禁輸を解除して以降は、米国や仏国を始め、カザフスタン、アルゼンチン、ロシアなどがインドと二国間の原子力協定を締結した。韓国とは現在交渉中であるほか、日本とも6月末からようやく、協定締結に向けて交渉を開始している。


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