米FENOC デービスベッセで上蓋交換へ

米国のファースト・エナジー・ニュークリア・オペレーティング社(FENOC)はこのほど、オハイオ州で操業するデービスベッセ原子力発電所(=写真)の圧力容器上蓋を来年秋に前倒しして交換することを決めた。3月に応力腐食割れの見つかった箇所はすでに修理が完了しており、7月から約1年間に限定して運転を再開する。

同発電所は2月末に燃料交換停止に入ったが、3月12日に上蓋の制御棒貫通ノズル69本中24本で小規模の応力腐食割れが発見された。同炉では2002年にも圧力容器上蓋でホウ酸による腐食が発見され、04年に交換したばかり。その際、未完成の発電所から未使用の上蓋を引き取って据え付けたが、炉心の温度上昇に弱い素材で製造されていたことが判明している。

このためFENOCは、当初2014年に予定していた上蓋交換を来年秋に早めて実施すると決定。取り替え用の上蓋はすでに仏アレバ社が製造済みで、今年秋にも同発電所に輸送される。

この件について米原子力規制委員会(NRC)はFENOCに確認行動書を送付。同発電所において安全性と信頼性の高い操業を期すため、同社が厳守すべき事項として次の4点を通達した。すなわち、@2011年10月1日までに原子炉を停止し、新しい上蓋を設置するA2011年の停止予定日とは無関係に、上蓋の温度など、再び点検すべき時期に係わる技術情報を提供するB割れが生じたノズルのサンプルをNRC独自の分析用に提供するC漏洩監視手続きを強化する。

FENOCでは、現在までの2か月間に、ロボット溶接などの最新技術で上蓋を修理しており、再起動前の点検では安全運転に支障はないと強調。さらなる割れの発生を防止するため、燃料集合体の再構成と運転サイクルの短縮で炉心の温度を下げるとしている。


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