島根1、2号機に厳しい評定 保安院・総合評価 保守管理不備を重くとらえ

原子力安全・保安院は9日、国内原子力発電所について試行的に開始した保安活動総合評価で、中国電力島根発電所1、2号機(=写真)を、5段階で最も厳しいレベル「許容できない課題が見出された」と評価した。両機において発覚した保守管理不備問題を重くとらえ、評価に反映した。

保安院は、新検査制度施行の一環として6月、原子力発電所各号機ごとに、09年度保安活動状況を5段階にランク付けした総合評価結果を発表したが、保守管理不備に伴う処分措置がかかっていた島根1、2号機については、評価保留となっていた。今回の評価結果は、優良な順に、「課題が見出されなかった」が10基、「軽微な課題が見出された」が19基、「課題が見出された」が2基、「重要な課題が見出された」が21基で、最も劣る「許容できない課題が見出された」は島根1、2号機の2基のみ。

保安活動総合評価は、プラントごとに、発生した事故故障等について客観的に評価した「安全重要度評価」(SDP)と、安全性にかかる運転状態のレベルを評価した「安全実績評価指標」(PI)を勘案し、評定を決定するが、プラントの安全性そのものを評価するものではない。島根1、2号では、法令報告事象などハード面でのトラブルはなかったものの、保守管理体制や品質保証システムが十分に機能せず、多くの機器が点検周期を超過した事案をSDP評価で重くみた。なお、PI評価では、問題は確認されなかったとしている。

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中国電力はこのほど、島根発電所の点検不備に係わる再発防止対策として、社長直属の「原子力強化プロジェクト」と、地元有識者も含めた第三者組織「原子力安全文化有識者会議」を設置した。

同社では先般、「原子力品質マネジメントシステムの充実」と「原子力安全文化醸成活動の推進」を2本柱とする再発防止対策を策定した。「原子力強化プロジェクト」は、地元の意見、関係・協力会社を含めた発電所員の声を収集・分析し、必要な施策を検討する。「原子力安全文化有識者会議」は、「原子力強化プロジェクト」から活動状況の報告を受け、再発防止対策の実施状況を確認する。


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