中国の高速炉研究開発計画 実験炉が初臨界を達成

中国の原子能科学研究院(CIAE)は21日、北京南部で建設中だった高速実験炉(CEFR)が初臨界を達成したと発表した。高速炉開発でかつては世界のトップを走っていた欧米諸国が開発を中止する一方、現時点ですでに実験炉と原型炉を運転しつつ実証炉を建設するロシア、実験炉が稼働中のほか原型炉が間もなく完成するインド、今年5月に原型炉「もんじゅ」が14年半ぶりの臨界を果たした日本に続いて画期的な成果を収めた。高速炉研究開発における新たな波はアジアで着実に高まりつつある。

CEFR炉は熱出力6.5万kW、電気出力2万kWでナトリウム冷却方式のプール型原子炉。ロシアの原子力総合企業であるロスアトム社が建設に協力したが、CIAEでは機器の国産化率は7割に達したとしている。CIAEはまた、高速炉によってウラン資源の利用率は6割以上に上がるとしており、CEFRの後続として出力60万kWの原型炉(CPFR)や出力100万kW以上の実証炉(CDFR)の建設を検討。国際原子力機関(IAEA)が06年に改訂したデータベースにも、CPFRは検討中の扱いで掲載されている。

しかし、ロスアトム社傘下の原子力建設輸出企業であるアトムストロイエクスポルト(ASE)社によると、昨年10月にロシアのV.プーチン首相が中国を訪問した際、ASE社はロシアで建設中の80万kW級・高速実証炉(BN―800)と同型の高速炉を2基、中国に建設するための準備工事実施でCIAEおよび中国原子能工業有限公司(CNEIC)と契約を締結。同契約には、建設プロジェクトの事前調査なども含まれており、最初の1基の建設工事は2011年8月に開始されるとしている。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで