米国とインドの原子力協力 印の再処理で協定調印

米国とインドは7月30日、両国が民生用原子力協定の下で原子力貿易を行う際、必要条件となっている再処理に関する取り決めと手続きに関する協定に調印した。米国起源の核物質の再処理や、米国の核燃料企業によるインドでの事業取り引きを可能にするもので、2年前に両国が調印した原子力協定の実質的な運用に向けてまた1つ、ハードルがクリアされたことになる。

協定の調印はワシントンの駐米インド大使館において、M.シャンカル印大使と米国務省のW.バーンズ政治担当国務次官が行った。両国は3月末にこの件に関する合意に達して以降、関連の手続き等を進めていたもので、予定より半年ほど早く調印にこぎ着けたとしている。

米国務省によると、米国はこれまで欧州原子力共同体(EURATOM)と日本に対してのみ、再処理を事前同意。今回の協定により、インドも今後、再処理工場を国内に建設し、米国が責任を負うべき使用済み燃料を国際原子力機関の保障措置下で再処理することができる。

また、インドが米国の原子炉を採用するために特定したアンドラ・プラデシュ、グジャラートの両サイトでの事業も含め、インドの民生用原子力市場で両国の企業が数十億ドル規模の事業チャンスを得られるとしている。

インドのシャンカル大使も、同国が2022年までに3500万kW、32年までに6000万kWの原子力開発を目標としていることに触れ、これらの達成には米国を始めとする諸外国との協力が欠かせないと強調した。

なお、インドでは現在、議会の関係委員会が米印原子力協定における原子力貿易のもう1つのハードルである原子力損害賠償制度について法案審議中となっている。


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