システム・インフラ輸出部会初会合 日本が主導権持って海外展開を 市場ごとにアクションプラン 日印協力可能性検討も

経済産業省の産業構造審議会貿易経済協力分科会は5日、「システム・インフラ輸出部会」(部会長=浦田秀次郎・早稲田大学大学院教授)の初会合を開催し、水、原子力、鉄道など、インフラ関連産業の海外展開に向けた総合的な戦略について審議を開始した。6月に策定された「産業構造ビジョン2010」に掲げる「産業のグローバル競争力強化」を目指し、今後のインフラ・システム輸出を進めるため、官民連携のあり方を検討するもの。メンバーは、産業界の代表、有識者らからなるが、初回、各委員からの発言を通じ、日本勢が主導権を持ち、「ジャパン・イニシアティブ」でプロジェクトを進めていくという共通認識が確認された。

冒頭、松下忠洋副大臣、増子輝彦副大臣ら、経産省幹部が挨拶に立ち、増子副大臣は、各国の計画策定段階から関わっていく必要を強調するなど、わが国インフラ産業の海外市場進出に向け意欲を示した。

審議では、「産業構造ビジョン」の一翼となるインフラ関連産業の海外展開について、個別の機器、設備の納入のみでなく、設計・建設から維持・管理まで含め統合的な「システム」を受注するといった全体戦略のポイントを再確認した。その上で、水、石炭火力発電・石炭ガス化プラント、送配電、原子力、鉄道、リサイクル、宇宙産業、スマート・グリッド、再生可能エネルギー、情報通信、都市開発・工業団地の計11の分野別戦略を整理した。

原子力分野では、世界市場を(1)欧米市場(2)中国・インド市場(3)新興国市場――に大別し、欧米市場では、設計・調達・建設受注、主要機材提供、発電事業参画を、インド市場では協定交渉の進捗を踏まえた協力の可能性検討を、新興国市場では建設、運転・管理、燃料供給、人材育成、制度支援等をそれぞれ目標に掲げた上で、(1)受注体制の整備(2)ファイナンスの強化(3)燃料供給力の強化(4)原子力協定の締結(5)パッケージ提案能力の強化(6)技術開発の強化(7)周辺インフラ整備――について、今後のアクションプランを示した。原子力発電所の新規導入国への対応は、官民一体となって包括的な提案を行う新会社を設立する予定。

同部会は、各分野別にワーキンググループで議論を進めた上で、年内にも再度召集し、すり合わせを行う予定だ。


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