USECの遠心分離工場建設 融資保証で改訂申請書提出

米国濃縮会社(USEC)は3日、建設中の米国遠心分離プラント(ACP)について、再び政府の融資保証プログラムに適用を申請したと発表した。昨年夏に米エネルギー省(DOE)から最初の申請の取り下げを要請されて以来、指摘されていたいくつかの問題点解決に取り組み、全面的に改訂した申請書を提出したもの。ACP計画への総投資額は今年6月末で18億ドルに達しており、USECとしては、何としても政府の融資保証を獲得したい考えだ。

USECは2007年にオハイオ州パイクトンで年間生産量3800トンSWUのACP建設に着手した。08年には、融資保証プログラムの燃料サイクル・フロントエンド枠に割り当てられた20億ドルの保証を申請したが、DOEは「技術的、財政的な点で商業規模への移行準備ができていない」として同申請の取り下げを要請。採用技術のさらなる研究開発と実証のため、申請の審査を少なくとも6か月間延期することで双方は合意していた。

今回の申請書でUSECは以下の活動実績を列記。すなわち、(1)DOEの指摘した技術的、財政的課題に取り組んだ(2)ACPカスケード用の遠心機(AC100)の数を倍増することとし、今年中に設置する(3)リード・カスケードの試験プログラムで延べ48万遠心機・時間以上の稼働実績を達成(4)融資保証を付されて以降、ACP完成までに要する建設費を28億ドルと試算――などだ。

このように技術面では徹底的な品質保証プログラムの審査を終え、多段階カスケードを構成する遠心機の組み立てと試験運転で実質的な経験を積んだことを強調。財政面の改善点としてはプロジェクト・リスクを軽減する一手段として、今年5月に東芝およびバブコック&ウィルコックス社から3段階・総額2億ドルの出資契約を取り付けたことを明記している。

08年のフロント・エンド用融資保証枠は今年5月、仏アレバ社がアイダホ州で進めている遠心分離濃縮工場計画への提供がすでに決まった。しかしこの時DOEは、07会計年度に規定した融資保証金の中から追加で20億ドルをウラン濃縮施設建設に提供できると明言。USECが支援を受ける可能性は残っていると見られている。


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