IAEA総会が開幕 天野事務局長が強調 「新規導入国支援に全力」 日本からは海江田科技相が出席

【石井敬之記者】 国際原子力機関(IAEA)の第54回通常総会が20日、天野之弥事務局長の下、ウィーンで開幕した。日本からは就任したばかりの海江田万里・科学技術担当相が出席し、スピーチした。

天野事務局長はスピーチの中で、世界的な原子力導入の流れの中でIAEAの役割が増大しつつあると指摘。現在60もの国々が原子力発電の導入を検討しており、2030年までに10から25の新規導入国が誕生するとの見通しを示した。そして、「原子力発電利用はすべての国が享受すべき」とし、IAEAは今後も新規導入国に対する協力を惜しまないと強調した。また今次総会の大きなテーマでもある「がん対策」にも言及。放射線医学利用によるがん撲滅を強く訴えた。

一方、海江田大臣は原子力発電利用と保障措置の強化・効率化の両面で日本が培ってきたノウハウを、IAEAの技術協力を通じて新規導入国支援に役立てたいと力強く宣言。3Sの確保を重視しつつ、アジア、中東地域の原子力需要に対応していきたいとした。そして核燃料供給保証について、「依然として加盟国間に意見の隔たりがあるが、実質的議論に踏み込める環境が醸成されることが重要」と議論の進展に期待を寄せた。

また北朝鮮の核問題について海江田大臣は、「東アジアおよび国際社会全体の平和と安全に対する深刻な脅威」だと強調。解決に向け日本は、国連安保理決議を着実に履行し、引き続き国際社会と連携して行動したいとした。


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