日印協力 原産協会が見解発表 原子力協定早期に

日本原子力産業協会は17日、インドとの今後の原子力協力関係構築をめざし、「我が国とインドとの原子力平和利用協力に向けて」と題する見解を発表、日印二国間原子力協力協定の早期締結を要請している。

同見解では、インドの潜在的成長性を念頭に、地球温暖化防止対策や我が国の中東へのシーレーン、エネルギー・セキュリティーにとっても日印関係の維持・強化の重要性を強調し、明治以来の親日国家であること、民主主義、法の支配、市場経済、言論の自由など日本との基本的価値も共有していることから、東アジアの戦略バランスを考慮し、幅広い分野での日印協力関係を強化すべきだと訴えている。

インドの原子力開発への日本の協力意義について見解では、日本の原子力発電技術を提供することは、3S(保障措置/核不拡散、原子力安全、核セキュリティー)の確保に日本の有する原子力平和利用の知見と技術を普及させるものと積極的に捉えるべき、と強調した。

国際社会は、インドの2回目の核実験を防ぐことができなかったばかりか、インドの孤立化を深め、地域の緊張緩和にも寄与しなかったと反省すべき、と指摘している。

現在、日印両国政府が進めている原子力協力協定の早期締結を原子力産業界は望んでいるものの、同時に、国民の理解と支持が十分でなければ、原子力ビジネスも成り立たないという認識を持っていることを表明している。

見解を発表した服部拓也理事長は、「インドを原子力分野で孤立化させるよりは、限定的ではあっても査察を受け入れてもらい、国際社会に受入れるべきだ」と強調した。

人口11億人を越えるインドでは、いまだに約4割の人々が電気の恩恵を受けることができずにおり、1人当たりの消費電力量も日本の15分の1以下に止まっている。

国民総生産も2030年にかけて、年率6.3%で成長し、発電電力量も2.7兆kWhにまで達するものと見込まれている。この間の増加分は、現在の日本の総発電量の2倍程度に相当する。

今後、インドではこれらの電力需要に対応するため、原子力発電所の建設では、独自開発してきた重水炉と高速増殖炉のほかに、海外から最新の軽水炉を導入することを計画している。


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