オランダの新規原子炉建設 同一サイトで2件目の計画

オランダのエナジー・リソーシズ・ホールディング(ERH)社は7日、同国で唯一稼働するボルセラ原子力発電所サイトに2基目の原子炉を建設する意志表明書を住宅・国土計画・環境省(VROM)に提出した。同サイトでの2号機建設についてはすでに昨年6月、ERH社と折半で同発電所を所有するデルタ社が同様の計画書を提出しており、政府の今後の対応が注目されている。

オランダではチェルノブイリ事故後、新規の原子力発電開発が中止されており、経済的理由でドーデバルト発電所が97年に閉鎖された後は、ボルセラ発電所(PWR、51.2万kW)のみが稼働中。2011年以降、次期政権が現在の脱原子力政策を廃止することを見越し、産業界は新たな動きを始めている。

ボルセラ発電所を所有・運転するEPZ社の株式は、かつてデルタ社とエセント社で50%ずつ保有していたが、エセント社は昨年9月、ドイツのRWE社によって買収された。RWE社の目的は、原子力発電資産の比率増強によりCOの平均排出率を低下させることだと見られているが、地元アンヘルムの裁判所は「この買収にはボルセラ発電所の所有権を含めない」と裁定。RWE社が同所有権の取得をあきらめない一方で、エセント社が保有していたこの所有権は、エセント社の株主であったオランダ6州の州政府および100以上の地方自治体に引き継がれ、ERH社が設立されるに至っている。

ERH社によると、同社は当初、ボルセラ2号機の建設はデルタ社と共同で進める考えだったが、デルタ社ではこれを拒否。また、ERH社は将来、完成した2号機の権利をRWE社に売却することも検討中だと伝えられており、ERH社の動きの背後にRWE社の思惑が働いているとの見方も強ち否定できない。いずれにせよ、同一サイトで2つの計画申請に許可が下りるとは考えにくく、政府がこの問題解決のため何らかの判断を下すと見られている。

ERH社の新設計画では、最大250万kWの原子炉設備の最初の1基を2019年までに運開。(1)120万kWのAP1000を1基か2基(2)出力160万kWのEPRを1基(3)もしくは第3世代のBWRを1基建設するとしている。

一方、デルタ社の計画には「第3世代の軽水炉」としか炉型が示されていないが、出力160万〜250万kWの設備を2018年までに40億〜50億ユーロの建設費で完成させる予定。すでに環境影響声明書(EIS)の手続きが進行中だ。


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