原子炉運転など体験 近畿大炉使い研修

近畿大学は、研究用原子炉(大阪府東大阪市)を活用しながら様々な実験・講習を行っている。今回は、9月に開催された電力会社女性モニター向けコースの様子を報告する。

伊藤哲夫・近畿大学原子力研究所所長による開会挨拶の後、保安教育として管理区域立ち入りに関する諸注意が説明され、近大炉を実際に見学しながら熱出力1Wという極低出力である同炉の特徴などを学んだ。その後放射線の基礎について講義があり、「ベータちゃん(β線計測器)」や「ラディ(γ線計測器)」を使って御影石や湯の花などの試料から出る放射線量を比較したり、屋外へ出て芝生の上や水上などの線量率の違いを調べたり(=写真)と、環境中の放射線を計測した。

午後からは実際に原子炉を運転し臨界状態に制御することを通じて、核分裂の数に比例して出力が上がっていくことなど、原子炉の動作原理を学んだ。続いてX線と中性子線を使って撮影したラジオグラフィ(透過画像)を比較し、物質内の電子密度分布の情報が得られる前者と水素のような軽い原子の密度分布の情報が得られる後者との違いなど、それぞれの特徴を理解した。最後に放射線の健康への影響についての講義があり、診断や治療に応用する医学利用など、最新の知見が紹介された。

講義を終えると近畿大学原子力研究所のマスコット「1ワットくん」とともに修了証が受講者全員に渡された。


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