女川町 町民主体で秋刀魚収穫祭 今年も何とか水揚げ、実施

秋本番、さんまの美味しい季節になった。

全国的に記録的な猛暑となった夏、海水温度が上昇し、さんまは不漁が続き、価格も高騰した。このところようやく、水揚げ量は例年並みに回復しているようだが、価格は依然として高値で推移していると新聞で読んだ。

さんまと言えば、9月19日の日曜日、宮城県牡鹿郡女川町で、「おながわ秋刀魚収獲祭2010」が開催された。この祭りは女川町最大のイベントで、美味しいさんまを求めて毎年多くの人々が県内外から訪れる。今年も朝早くから「さんまの格安販売」や「さんま炭火焼無料食べ放題」に長蛇の列ができ、会場は7万人の人出で賑わった。

13回目となる今年は、不漁が続き、祭り用のさんまの確保が危ぶまれ、関係者は、一時は祭りの延期も考えたが、「たとえ値段が高くても“さんまの町女川”の心意気を見せよう、来場者に美味しいさんまを振舞おう」と予定通りの開催を決断した。

幸い、祭り直前には、5隻の船が女川に入港し、例年並みの水揚げとなったため、予定通り、祭り用に20万匹のさんまを準備することができた。関係者は「ほっと胸をなでおろした」という。

祭りの会場となった女川港からほど近いところには、東北電力の女川原子力発電所がある。昭和59年より営業運転を開始、平成7年に2号機、平成14年に3号機を増設し、合計217万4000kWの電気出力を備える東北地方のエネルギー拠点だ。同発電所は、ウミネコが飛び交う美しい南三陸金華山国定公園地域内に位置しているため、外壁の色を優しいクリーム色にするなど、景観に配慮した、日本初の取組みがなされていた。

祭りの開会挨拶で、安住宣孝女川町長は「おながわ秋刀魚収獲祭は、行政ではなく、町民が主体となった素晴らしい祭り、女川はスポーツ振興、さかな、そしてエネルギーの町である」と語った。

生き生きとさんまを焼く姿や会場内ブースできびきびと働く姿など、町民の心意気はさまざまなところに見られたが、大人だけではなく、子供たちも、自作の女川のPR誌を配布したり、会場内特設ステージで、さんまdeサンバ(女川町オリジナルソング)に合わせた楽しい踊りを披露してくれた。

また、この夏、女川には新たなヒーローが誕生した。その名も「海を・島を・女川を守る リアスの戦士 イーガー」である。「イーガー」は、女川町に勇気と元気と活力を与えるため、女川町商工会青年部メンバーにより生み出された女川町オリジナルのヒーロー。制作には、企画からコスチュームデザイン、音楽など全てにこだわりをもってメンバー全員が関わってきた。「イーガー」の名前の由来は、女川の方言「いいがぁ」で、“準備はできているか?”という意味。「いいがぁ、おめだづ」(準備はできているか、君たち)という使いかたをする。

祭りでは、「イーガー」TシャツやCDなどオリジナル・グッズの販売、特設ステージでのヒーローショーが行われ、子供たちの歓声をあびていた。商工会青年部メンバーは、「イーガー」が、町に活力を与え、より多くの観光客を引寄せる存在となることを目指して頑張っている。

祭りが終わっても、新たなヒーローの登場で「さんまの町女川」はますます熱い。 (原産協会政策推進部  坂上千春)


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