田湾3、4で設計契約 中国にロシア製PWR増設 高速炉計画も含め、協力体制を強化

ロシアのロスアトム社は9月27日、中国の田湾原子力発電所で3、4号機を増設するため、傘下の原子力建設・輸出企業であるアトムストロイエクスポルト(ASE)社が中国の江蘇原子力発電会社(JNPC)と技術設計の実施契約を結んだと発表した。

今回の調印は、ロシアのD.メドベージェフ大統領による北京訪問に合わせて行われたもの。原子力のほかに石油パイプラインや天然ガス、再生可能エネルギー、石炭なといったエネルギー分野のみならず、様々な分野で戦略的なパートナーシップを強化するとの共同声明を公表している。

中国は今年7月に北京南部の高速実験炉(CEFR)で初臨界を達成しており、原子力分野のロシアとの協力では田湾プロジェクトのほかに、ロシアで建設中の80万kW級・高速実証炉(BN−800)を、中国国内でも2基建設するために事前準備を進めている。今後、同分野で両国は一層緊密な協力体制を築いていくと予想される。

江蘇省の田湾発電所サイトにはすでに、1、2号機としてVVER1000(100万kW級ロシア型PWR)が2007年から稼働しており、これら2基に対する運開後2年間のメンテナンス保証期間が昨年9月に終了した。3、4号機もこれらと同型設計が採用される予定で、ロシア側では原子炉建屋が二重構造であることや圧力容器底部に炉心溶融物キャッチャーが装備されるなど、事故時の安全性が確保される点を強調している。

二期工事建設のための協力覚書は08年にロスアトム社とJNPCの親会社である中国核工業集団公司(CNNC)が調印済み。今年3月にはASEとJNPCが両機の建設に関する枠組み契約を結んでいた。


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