インドの原賠法担当相が発言 「産業界に不利益及ばず」

インド情報放送省は9月25日、議会が8月に可決した原子力損害賠償民事責任法について、インド政府は「専門の委員会で事故時の賠償問題に対処する」として産業界の不安を和らげるとともに、同法によって米国系原子炉メーカーのみを優遇するつもりはなく、政府が外国の原子炉メーカー4社と協議していることを明らかにした。

この見解は、原賠法制定の担当閣僚であるP.チャバン科学技術大臣がインド商工会議所の定例対話会合で表明したもの。同国の原賠法では、発電事業者のみならず機器供給業者も賠償責任を問われる可能性があるため、産業界が原子力部門への投資を躊躇するのではとの懸念に配慮した発言と見られている。

同相はまず、原子力発電所で事故が発生した場合、担当委員や委員会を任命して対処するとともに、賠償手続きが直ちに進められるよう訴訟を禁止すると述べ、ボパール化学工場事故の時のように、被害者への賠償責任がたらい回しにされることはないと明言した。

また、被害者への賠償金額に制限はないが、発電事業者の責任限度額は議会審議の中で最大150億ルピーに引き上げた。関連の国際条約では発電事業者の責任限度額を210億ルピーに設定しているが、インド政府はそれ以上の賠償金を被害者に支払う用意があると強調。発電事業者も被害者への補償後、供給業者に対して保証金を請求できるが、インド国民の利益を最大限に反映したものだと説明している。

チャビン大臣はまた、同法が米国メーカーを優遇するために導入されるとの非難を払拭するため、政府が仏アレバ社、ロシア、GE日立社およびウェスチングハウス(WH)社の4社と協議中だと述べた。

同大臣によると、インドの原子力発電事業者は政府出資のインド原子力発電公社(NPCIL)であり、民間企業の出資はごく少数派。外国企業は供給業者としてのみ、プロジェクトに参加可能だが、発電事業者にはターンキー契約を結ぶ考えはなく、機器の6〜7割は国内の供給業者から調達するとしている。

同相はさらに、事故時に事業者である政府が国家主権による免責特権を行使することはできないと断言。政府と民間供給業者は同等の立場で扱われる点を保証した。


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