保安院 多様なステークホルダーと議論

原子力安全・保安院は7日と8日、原子力安全規制活動の不断の見直しと国民の理解と信頼感の醸成を図るため、「原子力安全規制情報会議」を開催した(=写真)。50名を超える多様なステークホルダーと規制活動における多くの課題について議論を展開した。

初日には、班目春樹・原子力安全委員会委員長とK.L.スビニスキ米国原子力規制委員会(NRC)委員が基調講演を行った。

班目氏は、「原子力分野のステークホルダー・コミュニケーション――現状と課題」として、一般国民や自治体とのコミュニケーションはもとより、規制当局内部と産業界内部や業種間・組織間・組織内部でのコミュニケーションがとれていないと問題提起をして、原子力安全委員会も産業界や規制当局との円滑なコミュニケーションを行いたいと述べた。

スビニスキ氏は、NRCの規制の原則は(1)独立性(2)オープンであること(3)効率性(4)明確さ(5)信頼性――であると紹介し、規制プロセスのすべての段階で一般との対話の機会を開いて安心につなげていく取り組みについて語った。

続くプレナリーセッションでは、寺坂信昭・原子力安全・保安院長が同院の10年間の規制活動について報告を行った。

次に、新野良子・新野屋専務取締役/柏崎刈羽原子力発電所の透明性を確保する地域の会会長、河瀬一治・全国原子力発電所所在市町村協議会会長(敦賀市長)、知野恵子・読売新聞編集委員、武藤栄・電気事業連合会原子力開発対策委員会委員長(東京電力取締役副社長兼原子力・立地本部長)、曽我部捷洋・原子力安全基盤機構理事長、寺坂院長をパネリストに、和気洋子・慶応義塾大学商学部教授をコーディネーターとして議論を行った。

法体系については、確かに日本は原子炉規制法と電気事業法の二本立ての規制に加えて放射線についての規制もあり、海外に比べて複雑だが、規制はそれぞれの国の歴史的・社会的事情でできており、各国で協調しながら他国のよい面やPDCAを取り入れていくのがよい、といった意見が聞かれた。

また、今後の原子力安全規制情報会議に向けては、増設などに向けた人材育成への取り組みや、一般も参加できる日程にするなど関係者以外の人への原子力安全に対する理解促進への期待が寄せられた。

これらの発言を受け、和気氏は、国際展開を進めていこうとする今日、安全・安心の確保にもやり方はあるので、今後は規制の効率性についても工夫しながら議論を深めていくべきではないかと締めくくった。


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