中国 ベルギーの協力で MOX製造試験施設建設へ

ベルギー首相府は6日、中国におけるMOX燃料製造工場パイロット・プラントの建設、およびベルギーで開発中の研究炉を使った放射性廃棄物の変換研究で協力するため、両国が枠組み協定に調印したと発表した。

今年7月に高速実験炉(CEFR)が初臨界を達成した中国はロシアの高速実証炉を2基導入するための事前準備を進めるなど、高速炉開発を急ピッチで展開中。1960年代からMOX燃料の製造実績のあるベルギーから協力を得て、中国は2030年に目標設定しているという「商業用FBRの完成および核燃料サイクルの確立」に合わせてMOX燃料の製造技術を習得していく考えと見られている。

両国の合意文書は、ブリュッセルで開かれていたアジア欧州会議(ASEM)首脳会議に中国の温家宝首相が出席したのに合わせ、同首相とベルギーのY.ルテルム首相が見守る中で調印された(=写真)。具体的な協力は、ベルギーの核燃料企業であるベルゴニュークリア社と原子力発電事業者であるトラクテベル社、およびベルギー原子力研究センター(SCKCEN)が中国核工業集団公司(CNNC)に対して実施する。

ベルギーで高レベル廃棄物処分やMOX燃料の研究開発等を担当しているSCKCENによると、今回の枠組み協定締結に続く商業レベルの協定は比較的短期間で結ばれる観測。これに基づいてベルギー企業側から中国への技術移転、技術支援などが行われることになるとしている。

SCKCENはまた、9億6000万ユーロで同国北部のモル町で開発している「ハイ・テク応用のための多目的ハイブリッド研究炉(MYRRHA)」の利用研究でも中国と協力する。同炉は古い多目的照射設備であるBR2炉をリプレースするため、設計・認可手続き作業中の核物質変換研究炉(熱出力5万〜10万kW)。600MeVの陽子加速器やMOX燃料の増殖炉心が装備され、未臨界および臨界の両モードで運転可能となる。

2015年〜19年の建設期間後、23年に定格出力での運転を予定しており、今年6月には同プロジェクト国際チームへの参加を希望する科学者やエンジニア、共同研究者を募集していた。


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