原子力機構 700人集め報告会 FBR国際標準化めざす

日本原子力研究開発機構(JAEA)は13日、「グリーンイノベーションからライフイノベーションまで――次世代への挑戦」と題して第5回報告会を有楽町朝日ホール(東京)で開催した。約700人が参加した。

まず、鈴木篤之JAEA理事長が開会挨拶・総括報告を行った。

続いて佐賀山豊・次世代原子力システム研究開発部長は、「『もんじゅ』を活用したFBRサイクル実用化への展開」として、もんじゅのトラブル処理を迅速に進めたうえで「40%出力プラント」に向けた準備とともに性能試験を進め、高速増殖炉(FBR)の実用化をめざして安全確保の考え方や設計クライテリアの国際標準化に向けた取り組みを積極的に進めていくとした。

次に南波秀樹・量子ビーム応用研究部門長が「生命科学・先端医療への展開」として、量子ビームテクノロジーの@タンパク質の構造解析、肺組織中のアスベスト検出、小さながんを見つけるRI薬剤の開発などの「観る」機能Aがん治療用RI―DDS薬剤、キズを素早く治す絆創膏など「創る」機能B中性子捕捉療法、イオンビーム、レーザーなどによるがん治療など「治す」機能――を用いて生命科学、先端医療に貢献する研究を推進していくとした。

最後に二宮博正・核融合研究開発部門長/那珂核融合研究所長が、「ワールドフュージョンコラボ――夢のエネルギー実現への挑戦」として、国際熱核融合実験炉(ITER)計画で日本が先導するトロイダル磁場コイルなどの機器製作をはじめ、国際核融合エネルギーセンター(IFERC)やサテライト・トカマク(JT―60SA)、国際核融合材料照射施設の工学設計・工学実証(IFMIF/EVEDA)などの取り組みを紹介し、核融合エネルギー実現に向けた国際的なイニシアチブを継続して確保していくとした。

また、岸井成格・毎日新聞主幹が「エネルギー・環境問題への国際戦略」と題した特別講演を行い、世界の潮流や日本の歴史から今日の政局を読み解きつつ、資源・エネルギー危機を迎えるにあたり無策ではいられないと警鐘を鳴らした。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで