文科省 第W期疫学調査 「低線量の影響なし」

文部科学省はこのほど、原子力発電施設等の放射線業務従事者に係わる疫学的調査の第W期調査結果を発表した。約20万人の従事者を対象に、05〜09年度にかけて、その死亡率と累積線量との関係を追跡調査したもので、分析の結果、「低線量域の放射線が悪性新生物の死亡率に影響を及ぼしている明確な証拠は認められなかった」としている。

今回の調査報告は、前回の第V期調査(00〜04年度)に続くもので、1999年3月末までに、放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターに登録された男性従事者20万3904人を対象としている。この集団の平均累積線量は約13.3mSvで、91年度以降の追跡調査により、計1万4224人の死亡を確認、そのうち、非新生物疾患による死亡者数は6310人、全悪性新生物死亡者数は5711人だった。悪性新生物の死因で、部位別に最も多かったのは、「肺がん」だった。

分析結果として、一部統計上、全日本人男性との比較、累積線量の傾向性などで、有意差を示した死因もあったが、喫煙、飲酒など、生活習慣等の交絡による影響の可能性を否定できないことから、今回の結論となった。


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