ベネズエラ、ロシアとの協力で 発電炉と研究炉建設へ

ロシアの原子力総合企業であるロスアトム社は15日、南米ベネズエラが検討している同国初の原子力発電所と放射性アイソトープ(RI)生産用研究炉をロシアが建設・操業するため、両国が協力合意文書に調印したと発表した。

ベネズエラのH.チャベス大統領が訪露した際、その他のエネルギー分野での通商協力とともにロシアのD.メドベージェフ大統領と合意したもので、署名はロスアトム社のS.キリエンコ総裁とベネズエラのN.マドゥーロ外相が行った。

両国はすでに08年11月に二国間の原子力平和利用協力協定を締結済み。今回の協定でロシアは、120万kW級PWRを2基、ターン・キー契約でベネズエラに供給するほか、同国で医療用および農業利用に使われるRI生産のための研究炉を建設する。また、その際必要となるインフラ整備についても支援を提供するとしている。

ベネズエラは石油資源に恵まれているが、チャベス大統領は同国と同じ産油国のロシアに倣い、将来を見据えたエネルギー戦略を構築したいと強調。価格の変動しやすい石油への依存低減やエネルギー源多様化のためにも原子力を電力供給要素に加えたいと説明した。

同大統領は強硬な反米論者として知られる一方、ロシアとは政治的側面も含めて緊密な盟友関係にあるとし、記者会見では、すでに8年前に原子力の平和利用についてロシアと協議を始めていたことを明らかにした。

具体的な建設スケジュールについて、メドベージェフ大統領は明言を避けたが、まずは市場規模や実行可能性の評価など、様々な予備調査の必要性を指摘した。


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