総合科技会議が優先度判定 高速炉「官民一体で推進」

政府の総合科学技術会議は22日、11年度概算要求の科学技術関係施策に対する「優先度判定」をとりまとめた。新規施策には、「S」、「A」、「B」、「C」の4段階評価を、継続施策には、「優先」、「着実」、「減速」などの判定を与え、予算案策定に反映させるもの。

来年度の科学技術関係概算要求総額は3兆6360億円、そのうち、今回の優先度判定は、1億円以上の新規施策と、5億円以上の継続施策で、計337件1兆3511億円相当が対象。評価に際しては、一般からの意見公募、有識者ヒアリング、特に若手研究者の参画を得て、より客観的に実施したほか、重点施策パッケージ「アクション・プラン」策定などの改善を施し、一層の透明化、重点化、効率化に努めている。

本紙関連で、高速増殖炉サイクル技術については、国家基幹技術の位置付けから、段階評価ではなく「詳細な見解付け」として、改善・留意事項を指摘している。総合的見解としては、長期的なエネルギーの安定供給、温室効果ガスの排出量削減などへの貢献から、「着実に研究開発を推進し可能な限り早期に実用化することが必要」と評価する一方、関係機関の明確な役割分担や官民一体となった推進、事業が長期間にわたることから、技術継承や人材育成面での配慮も求めている。さらに、「もんじゅ」を巡る国民の不安感などに鑑みて、「特に事故を起こさない万全の管理と対策」に加え、積極的・継続的な広報・広聴活動の必要も強調している。

この他、新規施策では、「核不拡散・核セキュリティ強化のための技術開発」(文部科学省)が、「S」評価を獲得している。本施策について、科技会議議員からは「政治的、安全保障には極めて重要」といった期待の意見もあった。

また、継続施策では、「重粒子線を用いたがん治療研究」(文科省)が「優先」、使用済み燃料再処理事業高度化補助金、地層処分技術調査等事業、次世代軽水炉等技術開発費補助金、戦略的原子力技術利用高度化推進費補助金(経済産業省)、ITER計画等推進、原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ、原子力システム研究開発委託費、「高度な3S『人材・技術』を活かした日本発の原子力の世界展開」(文科省)が「着実」となった。


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