英政府が国家計画声明書案を改訂 新設候補地、8か所に

英国のエネルギー・気候変動省(DECC)は18日、5月に発足した新政権による改訂版の「国家計画声明書(NPS)案」を国会で公表し、改訂前のNPSで潜在的な新規原子力発電所建設サイトとして掲載されていた10か所のうち8か所を、2025年までに新規の発電設備が設置可能な候補地として再確認した。新設計画に公的な補助金を一切出さないという政府のスタンスも改めて明記されたが、計画全体の実現が危惧されるほど大きな変更がなかったことから産業界では胸をなで下ろしている。

NPSは原子力に限らず国内で重要な基盤施設を建設する際、一般からの意見を十分聴取しつつ、国が公正で迅速な判断を下すために定められた制度。エネルギーに関する改訂版のNPSは改めて公開諮問に付されるが、DECCのC.ヒューン大臣はその説明の中で、今後数十年間にエネルギーの安定供給と化石燃料への依存削減を保証するには、新たなエネルギー源に大規模な投資が必要だと強調した。

その上で、2025年までに開発する発電設備の半分は再生可能エネルギーとするものの、残りの膨大な設備が原子力や二酸化炭素回収貯留になると明言。原子炉新設計画における確実性を原子力産業界や関連の投資家に伝えるため、以下の点を明らかにしている。

まず、原子炉の新設に適したサイトとして、(1)ブラッドウェル(2)ハートルプール(3)ヘイシャム(4)ヒンクリーポイント(5)オールドベリー(6)セラフィールド(7)サイズウェル(8)ウィルファ−−の8地点を確認。改訂前のNPSで候補だったカンブリア州の2地点は国立公園への影響等によりリストからはずしている。

次に、現在、包括的設計評価にかけられているウェスチングハウス社製AP1000と仏アレバ社製EPRの両設計について、同大臣は「正当性評価済み」の裁定を下した。これは欧州連合指令により義務付けられていた手続きで、国際放射線防護委員会勧告に基づき、これら2設計による発電が国民の利益に資する「新たな種類と形式の電離放射線利用」だと証明されたことになる。

同大臣はまた、新規原子炉から出る放射性廃棄物の処理処分と廃止措置について全面的な財政措置が取れるよう法的な枠組整備を約束。関連経費を専用基金で確保するための法案を下院に提出したことを明らかにした。


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