日独原子力専門家会合 原子力の役割転換に期待 処分場選定が理解の鍵

原産協会は10月28日、第17回日独原子力専門家会合を青森県弘前市で開催した。

両国の政府、電力、メーカー、研究機関等からの専門家計24名が個人の資格で参加し、両国の原子力政策・開発の現状、将来展望、燃料サイクルのバックエンドおよび耐震設計等について、情報・意見交換した。

会合では、秋元勇巳・三菱マテリアル名誉顧問、マンフレッド・ポップ・カールスルーエ工科大学上級顧問が共同議長を務め、会合の後、共同議長声明を発表すると共に、記者会見した。

ドイツでは、メルケル政権が、気候変動対策上、原子力発電を抜きにして考えられないとして原子力発電の寿命延長を平均12年延長したが、再生可能エネルギー重視の風潮が強く、2050年に全電力の8割を再生可能エネルギーでまかなうエネルギー戦略を策定している。原子力は依然として再生可能エネルギー時代までの「橋渡し」としての役割であるが、ポップ氏は「欧州のイタリアやスウェーデンで原子力政策が見直されており、ドイツもやがてそうなることを期待する」と語った。

ドイツでは、風力・太陽の再生可能エネルギーによる出力変動が激しいため、電力の供給調整を行うために原子炉も負荷変動させていることが紹介された。

日本では昨年からMOX燃料の商業利用が始まったが、ドイツでは約30年前からMOX燃料の利用経験を積んでおり、パブリック・アクセプタンスも得られているとの説明が行われた。

さらにドイツ側から、パイロット再処理プラントWAKからの高レベル液体廃棄物約60立法メートルについて、ガラス固化プラントVEKで昨年から今年にかけてガラス固化を終え、123本のキャニスタに収納したと報告した。

高レベル廃棄物処分場立地について活発な議論が行われた。ドイツでは30年前に政府が地質的に適切な場所(岩塩層)を選定し、ゴアレーベンに絞って調査を続けてきた。ポップ氏は、処分場問題は極めて政治的問題であると前置きした上で、「最終処分場を見つけることが、原子力理解の鍵である」と強調した。

ドイツの専門家一行は翌29日、六ヶ所燃料サイクル施設を視察した。


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