原産協会 武黒社長が講演 「越への輸出は試金石」

原産協会は6日、東京・霞ヶ関で第8回会員情報連絡協議会を開き、今後の日本の原子力国際展開に焦点を当てて、武黒一郎・国際原子力開発社長(=写真)が「国際原子力開発(株)の事業方針と活動状況」、酒井利明・一般財団法人原子力国際協力センター長が「原子力発電新規導入国の動向」について講演した。

武黒氏は、10月末に日本がベトナムのニントゥアン省第2サイトの原子力発電プロジェクトのパートナーとして選定されたことを受け、ベトナム側が提起している6条件(1)先進技術の提供(2)人材育成協力(3)資金面の協力(4)燃料安定供給(5)使用済み燃料・放射性廃棄物管理支援(6)原子力産業発展支援――をいかに今後具体化させていくかが課題だ、と強調した。

そのためにはまず、「ベトナムのために」の一点で国、電力会社、メーカーがまとまることが重要だと指摘。2015年の着工、21年運開までの道筋を、日本の経験・強みを生かして、スケジュール通り、予算通りに取り組んでいくことを目指す、とした。

今後は、フィージビリティー・スタディー(FS)を日本原電が、6条件への対応やメーカーとの窓口、FS以降の体制検討は国際原子力開発で一元的に対応する、と説明した。

途上国への原子力輸出は初めてのこととなることから、安全の確保、相手先の政策変更、原子力賠償制度の確立、長期の資金調達などのリスク管理にも力を入れていく方針を表明する一方、同氏は「ベトナムへの輸出は、新規導入国での原子力発電所建設の試金石であり、チーム日本をマーケットが見ている」と強調し、身を引き締めた。同氏はまた、ビジネスモデルの構築など、「次」や「次の次」のマーケットを見据えた取組みの重要性も指摘した。


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