保安院 時間管理から状態監視へ 運転中保全の検討推進

原子力安全・保安院では、原子力発電所の運転中保全(オンラインメンテナンス)の実施に向けた検討を進めている。

新検査制度に基づいた保全活動の取組の中で、事業者は、(1)保全の実施時期の柔軟化(2)作業付加平準化・作業輻輳の回避――の考えから、今後、運転中保全の順次導入を求めている。一方、昨年に閣議決定されたエネルギー基本計画においても、設備利用率向上の取組として、運転中保全の順次開始がうたわれている。

これまでの保全では、保安規定における運転制限条件の対象機器(LCO対象機器)の点検を、定期検査時に限定し、時間管理による分解点検を実施してきたが、今後は、機器にとって最適な頻度で点検を実施することから、状態監視を拡充し、劣化の兆候を早期に発見するとともに、劣化の兆候が発見された場合に速やかに対応できるようにする。例えば、BWRの非常用ガス処理系では、プラント運転中と比較し、プラント停止中の方が、事故発生の際の被ばく線量の観点から、影響が大きいといった解析結果から、プラント運転サイクルで考えた場合、運転中メンテナンスを行うことが合理的などと電気事業連合会は説明している。

保安院は、11月に開かれた専門家会合で、運転中保全について、「安全機能を達成するために必要な一連の機器等の構成『1トレイン』を、あらかじめ計画を作成した上で待機除外することによって、停止状態にして保全を行うこと」と説明した。その上で、運転中保全は、能動的に安全上重要な機能を有する1トレインを待機除外する行為であることから、待機除外に先立って、必要な安全に関する検討・評価を行い、適切な措置を講じることにより、多重化で要求されている当該系統の安全機能の信頼性を下げることなく確保することが必要との考えから、今後の論点を整理した。具体的には、BWRの非常用ガス処理系、PWRの安全補機室空気浄化系などの単一系統の運転中保全について、検討を始め、複数系統の運転中保全についても、段階的に検討していく。


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