「胸を張って原子力」 「広域連携大学拠点」形成、世界へ船出

1面から続く

住民の皆さん方にも、そういう面での原子力に対する信頼感が生まれてきたようでたいへん心強い。

─そうした土壌をバックに、福井県は原子力をベースとして発展する21世紀の国際モデル都市構想で先行、壮大な「エネルギー研究開発拠点化計画」(拠点化計画)を推進しているが、主要計画と敦賀市の位置づけを聞きたい。

河瀬 福井県が主導する拠点化計画は、原子力発電所の立地をただのエネルギーの生産地ではなく、原子力の高度な技術・知識の集積地として捉え、(1)安全・安心の確保(2)研究開発機能の強化(3)人材の育成・交流(4)産業の創出・育成を柱に、原子力関連技術を地域産業の活性化につなげるため、さまざまな計画が推進されている。

中でも人材育成と新技術開発は二本柱で、県は人材育成への貢献を目指し、国内外の研修生の受け入れ総合窓口となる国際原子力人材育成センターを今年4月に若狭湾エネルギー研究センターに設置、運用を開始する。

また、原電は地元企業や学生あるいは海外からの研修生などが原子力施設の安全面を担う技術者として能力開発・向上に幅広く活用できる「原子力安全研修施設」を整備、敦賀市で建設工事に着手、平成24年度に運用開始の予定である。

さらに、「もんじゅ」、「ふげん」等の研究施設と人材を活用し、特色ある原子力分野の教育・研究機能を充実するため、21年に福井大学文京キャンパス(福井市)に「福井大学附属国際原子力工学研究所」を設置したが、敦賀市が今年12月完成をめどに敦賀駅西地区に広域連携大学拠点形成の中核施設となる国際原子力工学研究所を建設、集約する。同拠点の中核は福井大だが、「もんじゅ」におけるFBR実用化のための中核的研究開発をベースに、阪大、京大、名古屋大、東大はじめ日本原子力研究開発機構(JAEA)等とトップレベルの共同研究を促進すると同時に、国際原子力人材育成センター、原子力安全研修施設、若狭湾エネルギー研究センター等とも連携し、アジアを中心に世界の学生、研究者が集い、定住する「世界に開かれた原子力・エネルギー学研都市・敦賀」を目指す。また、その成果が地域産業の新たな育成・創出につながり、その相乗効果によって地域が活性化していくよう努力したい。

特に、原子力グローバル化が急進展する中で「原子力人材の確保・育成」が世界共通の最大の課題になると同時に国際交流≠ェ大事になる。

国内の原子力拠点でもそうした問題意識から、たとえば茨城県では東海村を中心にいろいろな研究施設もあり、人材育成に焦点を当てているが、東海村地域が東の横綱なら、敦賀市を中核とする福井県嶺南地域は西の横綱だ。そういう位置づけの中で、お互い切磋琢磨しながら、より優れた研究ができるような知の拠点≠ェ今度の連携大学にあたる。

さらに、敦賀には多様な炉型が集積しており、「ふげん」で廃炉の研究もできる。将来的には、いずれ「ふげん」が解体されれば、その跡地にFBR研究炉のような最先端施設を誘致し、敦賀駅前と合わせ連携大学の機能を飛躍的に高めたいと考えており、国際研究交流の大きな誘引となろう。

今後は世界の国際機関とも連携しながら、「日本の敦賀というところにこういう大学があり、人材育成のための高度な教育・研究をしている」ことをアピールし、世界中の原子力に携わる人たちの勉強の場を作りたい。そこから優秀な人材を輩出し、ひいては世界の環境問題で国際貢献につなげたい。特に、原子力発電所の大幅な新増設需要がある中国やインドはじめ、新規導入するベトナム、インドネシアあるいは産油国やアフリカ諸国、それにもちろん欧米諸国を含めた国際交流を深め、将来は夢に近いかもしれないが、世界中の学生、研究者が集まる約500人規模の人材育成拠点にしたい。

国内では戦国時代から日本海交易の拠点として名を成した歴史と文化の「港まち敦賀」は今、21世紀の世界をリードする原子力国際交流拠点都市≠ニして新たな船出の錨を揚げた。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで