イタリアの原子力発電復活法で 4月以降、国民投票実施

イタリアのS.ベルルスコーニ政権が2009年に制定した原子力発電復活法が4月〜6月の間に国民投票にかけられることになった。同法の撤回を求める国民投票の実施について、野党が収集した署名を憲法裁判所が12日に適格とし、その実施を認めたもの。有権者の過半数が同投票に参加し、かつ賛成票が有効投票の過半数に達した場合、同法は廃止される。

イタリアでは1987年の国民投票により徹底した脱原子力政策を遂行していたが、化石燃料の輸入量削減やEU内でも高額な電気料金の低減を目指す同国議会は09年7月、新たな建設候補地の選定や建設で影響を受ける住民への補償方法の策定など約20年ぶりの原子力発電復活に道筋を開く法案を承認。2013年までに新規原子炉の建設に着手し20年までに完成させるという目標の下、国内に4基の欧州加圧水型炉(EPR)を建設するFS実施で仏電力(EDF)と協定を結んだほか、米国とも原子力部門の産業協力で二国間合意締結に至っている。

しかし、放射性廃棄物の貯蔵問題や環境影響などの点から反原子力の立場を取る「価値あるイタリア(IDV)党」は、「原子力発電復活法案は国民の頭上を飛び越えて成立したものだ」とし、原子力発電所を自宅近郊に建てるか否かの判断はすべてのイタリア国民に委ねられるべきだと言明。同国憲法では50万人の有権者または5つの州議会の要求により、(予算や国際条約批准の承認関係などを除く)法律の一部または全体を廃止する国民投票の実施が可能になることから、昨年夏に必要な署名数の収集活動を展開するなど、国民投票の実施に向けて手続きを進めていた。


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