米ロ原子力協定が発効 米、機器輸出等に期待

米国務省は12日、ロシアとの二国間原子力平和利用協力協定が発効したと発表した。核を保有する二超大国が戦略核兵器の削減など核不拡散体制の強化で協力するだけでなく、民生用原子力分野でも米国産業界からの原子力機器や技術の輸出、ロシア側からは原子炉用燃料の供給など、双方が企業レベルで長期にわたって商業的な利益を得るための基盤がようやく整った。

同協定により、両国は軍縮・核不拡散支援のための技術開発を共同で実施する条件が整うほか、研究炉を高濃縮ウランから低濃縮ウランに仕様転換するのに必要な法的枠組みが整備される。

また、米国の国立研究所や原子力産業がロシア側と核拡散リスクの少ない原子炉設計で協力したり、燃料加工や革新的燃料、新型炉など新たな協力分野の開拓を目的とした先進的共同研究開発プロジェクトを実施するための条件が整備される。

さらに、米ロ間での合弁事業立ち上げが格段に容易になる。米国からロシアへの原子力資機材の販売、両国企業による安全関連の先端技術や燃料サイクル分野の研究開発、第三国での合弁事業などで堅固な商業的な基盤の構築が可能だ。

同協定は2008年5月に両国政府が調印したもので、ロシアの関連法規と米国の原子力法第123条における制限項目をすべてクリアした内容。同年9月に勃発した南オセチア紛争でロシア軍がグルジアに侵攻したため、当時のW.ブッシュ大統領は同協定の承認を取り消すとともに、議会審議も撤回した。

昨年5月になり、B.オバマ大統領は国務長官やDOEのS.チュー長官および米原子力規制委員会委員らの進言もあり、グルジア情勢の沈静化や対イラン問題で共同歩調を取る必要性などに鑑み、同協定案を再度議会に提出していた。


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