【原子力ワンポイント】広く利用されている放射線(3) 赤色巨星や超新星爆発により宇宙線を放出

恒星の内部での核融合と恒星の死である赤色巨星、超新星爆発などにより、放射性元素を含む自然界にある全ての元素がつくられました。このとき宇宙線と呼ばれる粒子線やベータ線などが放出されました。

(3)放射線もばらまく星の死

ゆりちゃん 星が一生を終えるときは、超新星爆発以外に何がありますか?

タクさん 太陽のように輝く恒星の一生は重さ(質量)によって変わります。超新星爆発は、太陽のほぼ8倍より重い恒星の死ですが、それより軽い(太陽の8倍程度以下)の恒星は、晩年になると膨張し、巨大で希薄なガスの集まりである「赤色巨星」になります。半径は元の数百〜千倍以上になり、太陽の場合は、約50億年後にはふくれあがって半径が地球の軌道まで達し、地球が太陽(赤色巨星)の中に入ってしまう可能性が高いと考えられています。赤色巨星になると、外側のガスが徐々に宇宙空間に逃げ出していき、ガスを放出しつくした後には、色とりどりに輝く「惑星状星雲」になります。

ゆりちゃん 赤色巨星になったときに宇宙に放出されるガスは何ですか?

タクさん 恒星の主な成分である水素に加え、恒星の中で新たに、原子核同士がぶつかって融合する反応(この合成反応を核融合と呼ぶ)でできたヘリウムや炭素、酸素などの元素が宇宙に放出されます。この元素の高速で動く流れが粒子線と呼ばれる放射線になります。また、赤色巨星の内部では、核融合反応で余分な中性子が放出されることがあり、その中性子がたまたま鉄などの重い原子核に吸収されると鉛などの、より重い元素が作られます。このとき中性子が過剰になることがあります。中性子が過剰になると、中性子が電子と電荷を持たない素粒子であるニュートリノを放出し、陽子に変身します。これをベータ崩壊と呼び、この放出された電子の流れがベータ線になります。

ゆりちゃん ところで、超新星爆発で放出される放射線を出す物質は何ですか?

タクさん 自然に作られるウランまでの放射性物質が全て該当します。超新星爆発の中心近くで大量の中性子がシャワーのように発生し、そこに鉄のような重い原子核があると、原子核が一気に大量の中性子を吸収します。中性子が過剰になって不安定になった原子核は、「中性子の吸収→ベータ崩壊→より重い元素への変化(→中性子の吸収)」を繰り返すことにより、金、銀、プラチナ、ウランなどの特殊な元素もつくられます。このようにして自然界にある全ての元素が作られたのです。この元素の中には自然界にある全ての放射性元素も含まれています。

(原産協会・政策推進部)


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