土木工事で3社が入札 ルーマニアのチェルナボーダ3、4計画

ルーマニアの経済・通商・ビジネス省は19日、チェルナボーダ原子力発電所3、4号機完成計画の土木建築工事について、3つのエンジニアリング企業連合から入札の意思確認文書(LOI)を受け取ったと発表した。

出力72万kWのCANDU炉2基を完成させる同計画で、管理会社のエネルゴニュークリア社は昨年9月に入札手続きを開始。今後、評価委員会による審査など、受注企業選定までの一連の作業を今年から12年の前半にかけて行う。一方、エネルゴニュークリア社に出資していた欧州企業のうち、4社が20日までに同計画からの撤退を表明しており、今後の資金調達に影響が出ることは避けられない状勢だ。

総工費約40億ユーロとなる同計画で、土木建築契約の入札に参加の意思表明をしたのは、(1)米ベクテル社(2)カナダのSNCラバリン社を筆頭とするイタリア・アンサルド社、ルーマニアのELCOMEX・IEA社の連合(3)ロシアのアトムテクノプロムが率いるロシア企業4社の連合。今後の手続きとして、発電所の技術的な仕様の明確化、予備入札段階のプレゼンと交渉、最終入札のための交渉とそれに続く企業連合の選定および発注などが予定されている。

ルーマニアでは1989年のチャウシェスク政権崩壊に伴い、91年に建設工事が中断した3、4号機を完成させるため、ルーマニア国営電力(SNN)が51%出資してエネルゴニュークリア社を08年に設立。同社に対してはこのほか、チェコ電力(CEZ)、仏国のGDFスエズ社、イタリア電力公社(ENEL)およびドイツのRWE社が各9.15%、また鉄鋼メーカーのアルセロール・ミッタル社、スペインのイベルドローラ社が6.2%ずつ出資を約束した。

10年2月になるとエネルゴニュークリア社は1、2号機を建設した加原子力公社に同計画の技術的、商業的な実行可能性評価を依頼。既存インフラや安全状態の評価や設計、承認など、3、4号機の完成に必要となる項目の特定を開始した。

しかし、出資会社のうちCEZは今月4日、国内投資やリスクの一層少ない国外計画に投資を集中させたいとしてエネルゴニュークリア社株をSNNに売却。GDFスエズ社、イベルドローラ社、RWE社の3社も今月20日の共同声明で同計画から撤退する意向を明らかにした。理由としては、近年の経済不況に伴い、同計画を巡る経済性と市場における不確定要素を列挙。同計画の技術的な側面が原因ではないと強調しており、3社とも今後も国外の新規原子炉建設計画に融資していきたいと表明している。


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