【原子力ワンポイント】広く利用されている放射線(5) 放射線研究でノーベル物理学賞受賞の科学者

レントゲンがX線を発見し、ベクレルが放射線を発見し、キュリー夫人は放射線が放射性元素から出されることを発見しました。レントゲンとキュリー夫妻、ベクレルはノーベル物理学賞を受賞しています。

(5) 誰が放射線を発見したのですか

ゆりちゃん 放射線は目に見えず、感じることも出来ないのに、誰がどのように発見したのですか?

タクさん 放射線は1895年11月8日、レントゲン博士が真空放電の実験をしているときに、放電管が黒い紙で覆われていたにもかかわらず、離れた場所にある蛍光板が光っているのを偶然発見しました。博士は、この黒い紙を透過する謎の光が写真乾板を感光させることや、手をかざすと手の骨の部分だけが陰になることを発見し、この光を未知の光という意味で「X線」と名づけました。1901年には第1号のノーベル物理学賞を受賞しています。

ゆりちゃん X線以外の放射線は誰が発見したのですか?

タクさん レントゲン博士がX線を発見した翌年の1896年、フランスのベクレルが、たまたま写真乾板の上に銅の十字架を置き、その上にウラン化合物を載せて机の引き出しにしまっておいたところ、乾板が十字架の形に感光していました。このことによりベクレルはウラン化合物がX線に似た放射線を出していることを発見し、これを「ベクレル線」と名づけました。ベクレル線は、後にヘリウム原子核、電子、電磁波であることが分かり、それぞれアルファ線・ベータ線・ガンマ線と名づけられました。

ゆりちゃん 放射線にアルファ線・ベータ線・ガンマ線があることは誰が発見したのですか?

タクさん 1898年にラザフォードがウランから出る放射線には少なくとも2つの種類(アルファ線とベータ線)があることを発見し、1900年にはヴィラールが第3の放射線(のちにラザフォードがガンマ線と命名、電磁波であることが示された)を発見しました。その後、ラザフォードは1908年にアルファ線がヘリウムイオンであることを発見、アルファ線の散乱実験を行って1911年には原子に原子核があることを発見し「ラザフォードの原子模型」を発表しました。そして1920年には中性子の存在を予言、中性子は1932年にラザフォードの教え子のチャドウィックによって発見されました。

ゆりちゃん キュリー夫人は何を発見したのですか?

タクさん 放射線が放射性元素から出されることを発見しました。ベクレル線に興味を持ったキュリー夫人は、夫のピエールが発明したピエゾ電位計を使ってウラン化合物から出る放射線の強さを計った結果、ウラン化合物の放射線の強さが、含まれるウランの量に比例していることから、放射線を出す源がウラン原子であることを突き止め、放射線を出す能力を「放射能」と名づけました。1903年にキュリー夫妻とベクレルは「放射現象の発見」でノーベル物理学賞を受賞しました。また、キュリー夫人は1911年に「ラジウムとポロニウムの発見、ラジウムの分離とその性質および化合物の研究」でノーベル化学賞も受賞しました。

(原産協会・政策推進部)


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