露の融資で完成にメド ウクライナのフメルニツキ3、4号機

ウクライナ国営原子力発電会社のエネルゴアトム社は1日、ロシア貯蓄銀行の融資により、20年前に建設作業が中断していたフメルニツキ原子力発電所3、4号機の完成に向けて工事再開の目処が付いたと発表した。

同発電所では1980年代から合計4基の原子炉建設が始まったが、86年のチェルノブイリ事故後、議会が決めた原子力新設計画凍結政策により90年に3、4号機の建設が中断。93年の同政策解除後、これらを完成させるに当たり、資金難のウクライナは2008年、資金援助を条件に国際入札を実施しており、ロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)社が落札した。昨年6月に、ウクライナの閣僚会議とロシア政府が同計画に関する二国間協力協定に調印し、今年の1月12日にはウクライナ議会が同協定を批准するに至っている。

完成計画ではV−392B型の100万kW級VVER(ロシア型PWR)2基の完成を16年に設定。総工費は50億〜60億ドルと見られており、機器の一部はウクライナの予算で調達するが、設計や建設、試運転、およびロシアからウクライナに供給する物品と役務のための資金をロシアが提供。これらの融資にはウクライナ政府による保証が必要になる。

ウクライナの政権はソ連崩壊後、グルジアなど反ロシアの国々と共同体を創設するなど欧米寄り政策を取っているが、度重なる天然ガス紛争問題も含めロシアへの経済的依存からは容易に抜け出せない状態。今月7日には親ロシア派のヤヌコビッチ元首相が大統領に当選した。一方、ロシア側はかねてよりウクライナとの関係修復に熱心で、航空や造船の分野でも同国に協力を提案している。


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