多目的研究炉を共同開発 ブラジルとアルゼンチン 協力強化

ブラジルとアルゼンチン両国は1月31日、2基の多目的研究炉を共同開発することで合意に達した。

ブラジルのD.ルセフ大統領(=写真左)がアルゼンチンのフェルナンデス大統領(=写真右)を公式訪問した際、両国それぞれの原子力委員会であるCNENとCNEAが具体的に実施協力していくとして、両国の担当大臣が合意文書に署名したもの。放射性同位体の生産や燃料および放射性物質の照射試験、中性子線の研究など多目的に利用するとしているが、炉型や立地サイト、建設スケジュールなどの詳細は明らかにしていない。

両国とも原子力利用については、すでに商業炉が2基ずつ稼働中のほか、アルゼンチンでは重水炉用核燃料サイクルのフロント・エンド施設がほぼ完備。ピルカニエウでは再処理工場も建設中だ。

08年に両国は民生用原子力分野の協力で共同宣言に調印しており、CNENとCNEAが「二国間原子力委員会(COBENA)を設置。昨年8月には、フェルナンデス大統領とブラジルのルラ・ダシルバ前大統領が両国間の原子力共同プロジェクトを統合し、その実施を促進するようCOBENAに指示していた。

その後、今年の1月1日付けでブラジル初の女性大統領となったルセフ大統領は、就任後初の外国公式訪問先としてアルゼンチンを選択。フェルナンデス大統領も「両国の国益は相互に深く関わっている」と指摘しており、原子力以外にも複数の分野で協力関係を結んだと伝えられている。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで