服部理事長 規制高度化に意欲 信頼醸成にも力点

原産協会の服部拓也理事長は15日、記者懇談会で「原子力発電所の安全規制高度化の議論に向けて」と題するメッセージを発表した。

服部理事長は、原子力政策大綱の議論に当って、(1)日本の原子力発電所の平均稼働率が世界標準と比較して大きく劣後していることは、国民経済的も損失が極めて大きい(2)稼働率の低迷は、原子力海外展開に際しても、他国との競争に悪影響を与えている(3)我が国が有している高い技術力をもってして、稼働率が低迷しているのは、我が国特有の事情にも原因があると考えざるを得ない(4)稼働率低迷の原因について、事業者側も規制側も国民に対して説明責任がある――と指摘し、「原子力発電所の稼働率の向上を当面の最優先課題として位置づけ、国を挙げて取り組むべき」と強調。

その上で、米国原子力規制委員会(NRC)のクライン前委員長の昨年末の来日講演での発言内容について、(1)日米仏は世界の半分以上の原子力発電所を運営しており、自らの良好事例を提供する責任を有する(2)規制アプローチを国際的に調和させることによる改善効果は日本にとって特に大きい(3)NRCでは15年前から規制アプローチの改善を進め、米原子力発電所は、全体として進化、成熟して効率的になった(4)究極的には、原子力事業者と規制の制度・体制が効率的であるか否かが、稼働率に強く反映される(5)15年前には米国の原子力発電所は低稼働率にあえいでおり、多くの人々は米国の原子力産業界が再生することは決してないと思っていた――との概要を紹介した。

同理事長は、日本の場合に置き換えれば、「まず、原子力事業者と安全規制当局が問題意識と達成するべき目標を共有することが必要だ」と強調し、「より合理的な安全規制に転換することにより、安全性を犠牲にすることなく、信頼性の高い、効率的な原子力発電所の運営への転換を図ることが可能だ」と主張した。

さらに、「相互信頼に基づくオープンな議論のプロセスこそが、立地地域の方々をはじめとする国民全体が求める安全規制に対する信頼性の向上と安心感の醸成に資する」との考え方を示し、同協会としても、安全規制高度化へ向けた議論に、積極的に加わって行きたい、との姿勢を示した。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで