経産が消費地で 立地地域の声も エネ政策を考えるフォーラム

「低炭素社会における日本のエネルギー政策を考える」をテーマとするエネルギーフォーラム(経済産業省主催)が8日、東京・中央区の浜離宮ホールで開催され、評論家で元原子力委員の木元教子氏進行のもと、芦野英子氏(エッセイスト)、中込良廣氏(原子力安全基盤機構理事長代理)、中村政雄氏(科学ジャーナリスト)、やのひろみ氏(フリーパーソナリティ)らをパネリストに迎え、フリートーク形式で原子力発電・核燃料サイクルに関する意見交換を行った。経産省からは、横尾英博・ガス事業部長が登壇し、昨夏に改定されたエネルギー基本計画に基づいて、データを提供するなどした(=写真)。16日には、大阪市でも開催された。

木元氏が、日本のエネルギー自給率が主要先進国中で最も低いにもかかわらず、「危機意識が見えてこない」現状について問題提起したのに対し、中村氏は、鳩山元首相が提唱した「20年までに温暖化ガスを90年比25%削減」の国際公約は「義務」とした上で、その達成に向けた十分なデータが国民に与えられていないなどと懸念した。さらに、横尾氏の「低炭素社会を創ることは非化石エネルギーを増やすこと」との説明に、中込氏は、電力需要を、ゼロ・エミッション電源のみでまかなうとした場合、再生可能エネルギーをフル導入しても、最低あと10基の原子力プラントが必要になるといった試算を披露した。

また、木元氏が、原子力に対する一般の受け止め方について、「青森に行くと今でも『原子力まいね(駄目)』という看板を見る」と述べたのに対し、青森在住の芦野氏は、日本原燃でアドバイザーを経験した住民らが継続的に放射線について勉強する「スカーフクラブ」の活動を紹介した。一方、PA問題に詳しい中村氏は、「反対する人は危険なものを過大にとらえる傾向がある」と指摘した。

核燃料サイクル関連では、地元四国のメディアでのインタビュー経験をやの氏が述べ、「プルサーマルを知っていますか?」との問いに対し、原子力を立地する愛媛県以外の3県では、「城の名?」といった答えも返ってくるほど知られていないことをあげて、認知度の違いを強調したほか、四国電力が10年来継続してきたオープンな姿勢が、「事実がしっかり伝わる安心感」につながっているなどと、消費者からみた印象も述べた。

また、放射性廃棄物の地層処分について、地方シンポジウムで座長を務めた経験もある木元氏は、「原子力施設を『資産』として活かしてもらう」ことを地域に働きかけてはなどと述べた。


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