【原子力ワンポイント】広く利用されている放射線(6) 核分裂の連鎖反応を利用した原子力発電

核分裂とは原子核が分裂して異なる原子核に分かれる現象で、新しい原子番号の元素を見つけようとして発見されました。ウラン235の原子核に中性子が飛び込むと、原子核は不安定な状態になり、原子核が2つ以上に分かれ、多くの熱エネルギーを放出します。

(6)新しい元素を見つけようとして発見された核分裂

ゆりちゃん 中性子が1932年にチャドウィックによって発見された後の研究には何があるのですか?

タクさん イタリアの物理学者フェルミはいろいろな原子に中性子を当てると、新しい原子番号の元素になる可能性を示し、1934年から実験を行いました。中性子が当てられた元素のなかにウランがあり、強い放射線を出すことを見つけました。しかし、ウランの中での変化までは推測できませんでした。次に、ドイツの化学者ハーンが中性子を当てたウランから放射能を持つバリウムが作られたことを発見しました。この変化を説明したのが、ユダヤ人の物理学者マイトナーです。ハーンから知らせを受け取ったマイトナーは、エネルギー保存則の計算をして、ウラン原子がほぼ半分に割れた(核分裂が起こった)結果であるとし、1939年に科学雑誌ネイチャーに投稿しました。ハーンは核分裂の発見者であり、マイトナーは核分裂の概念の確立者とされています。

ゆりちゃん 核分裂では放射線しか出ないのですか?

タクさん 核分裂では放射線のほかに熱も出ます。熱は原子力発電などのエネルギーとして利用されています。

ゆりちゃん 核分裂でどうして熱が出るのですか?

タクさん 原子力発電所で使われるウラン燃料を例に説明します。天然のウラン鉱石には核分裂しにくいウラン238が99.3%と核分裂しやすいウラン235が0.7%の割合で含まれています。

原子力発電所は、核分裂しやすいウラン235を約4%程度に高めたウラン燃料を使っていて、ウラン235の原子核に中性子が飛び込むと、原子核は不安定な状態になり、原子核が2つ以上に分かれます。この分裂によりウラン以外の物質が生まれるとともに、たくさんの熱エネルギーが放出され、同時に数個の中性子も放出されます。核分裂によって生まれた物質(核分裂生成物)の総量は、核分裂する前の原子核より軽くなっています。この差が熱になります。

ところで、核分裂により新しく生まれた中性子が、他のウラン235原子核に当たることで、次々と核分裂を引き起こすことを「核分裂の連鎖反応」といいます。

原子力発電所では核分裂の連鎖反応が一定の量で続くよう調節しています。そしてこの状態が続くことを「臨界」といいます。(原産協会・政策推進部)


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