原子力委・新大綱策定会議 エネ利用で中間整理 利用率90%実現を

原子力委員会の第4回新大綱策定会議(=写真)が21日、都内で開かれ、これまでの「議論の中間整理」として、近藤駿介議長が「エネルギーにおける原子力発電について」と題する文書を説明し、概ね了承された。そこでは、まず原子力発電の特性を列挙し、@エネルギーの安定供給A地球温暖化対策B経済性――を挙げた上で、エネルギー基本計画に記載された2020年までに9基の原子力発電所の新増設、設備利用率約85%、30年までに14基以上の新増設、設備利用率約90%を実現することを目指し、総発電電力量の約5割を供給することを基本的考え方に据えた。

昨年6月に閣議決定されたエネルギー基本計画の記載から、30年以降も相当の期間にわたって原子力発電が基幹電源であり続けることを踏まえ、核不拡散や核セキュリティの国際約束を遵守し、国際社会に対して、「原子力の平和利用の在り方の模範を提供していくべき」とし、目標達成のための取組みとしては、「政府と民間、地方自治体がこの目標を共有し、推進するために協議」することの重要性を指摘し、「既存のシステムの見直しや、新たなシステムの整備を積極的に推進」すべきとしている。

さらに、長期サイクル運転、運転中保全や状態監視などを組み合わせた保全の最適化を図り、「世界と比較しても遜色ない設備利用率の実現を目指す」としている。

また、使用済み燃料中間貯蔵施設や、クリアランスへの理解活動の重要性にも言及している。

改革に向け、「国は、地方自治体、電気事業者との間で原子力発電の持つ意義について認識の共有を深めるような場を新たに設ける」ことを要請、さらにシステム輸出を見据え、国際標準に調和し、科学的・合理的かつ実効性の高い安全規制システムの検証も訴えている。

意見交換で、清水・電事連会長は「燃料サイクルの意義、再処理は国産資源を手にすることであり、安全性、核不拡散、経済性などの点からいっても基本的に大綱を見直す状況変化はない。全量再処理を確実に実施する必要性がむしろ高まっている」と発言。また、河瀬・全原協会長は、原子力政策を進める上では常に、「地元の理解を得て」を入れてほしいと要望、立地自治体としては「基本方針がぶれることが、最も不安なことだ」として、中間貯蔵は「基本的にはサイト外でやってほしいと言ってきたので、十分な検討を」と述べた。

サイクル関連では、山名・京大教授が、「最もよい路線は何かを議論すべき。再処理路線が最適だということを再認識すべきと考えるが、基礎から研究、実用化へとつながる研究開発の在り方の検討が必要」とした。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで