日立製作所 陽子線治療システム 照射精度さらに向上

日立製作所はこのほど、国内初となるスポットスキャニング照射技術を適用した「陽子線治療システムPROBEAT―V」の販売を開始する。

同システムは、患者体内の固形がんおよび脳腫瘍に対して、高エネルギー陽子線を照射する。従来方式の二重散乱体方式に加え、スポットスキャニング照射技術を適用したビーム走査方式にも対応可能となっている。厚生労働省から1月27日、薬事法に基づく医療機器製造販売の承認を取得している。

陽子線治療は、水素の原子核である陽子を加速器で加速させ、ビーム状に取り出した陽子線を患部に照射することでがん組織を集中的に治療する。陽子線は、体内に進入した直後は線量が小さく、陽子エネルギーの強さに応じた深さで最大線量を放出(ブラッグピーク)し、その後は急激に線量が減少するという特性があり、ピンポイントで患部に線量を付与することでがん細胞を壊死または増殖能力を失わせることができる。

スポットスキャニング照射技術を適用したビーム走査方式は、複雑な形状のがんにも精度よく陽子線を照射することができるので周囲の正常な細胞への影響を抑えられ、陽子ビームの利用効率が高いため不要な放射線の発生が少ない。また、患者ごとに準備が必要であったコリメーターやボーラスなどの装置は不要となる。


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