ブレスマス 全量検査も可能に サンプルを高感度測定

日本原子力研究開発機構は、高感度四重極形質量分析計を使った「呼気ガス測定装置(ブレスマス)」を開発し、産業利用を促進している。

医療分野では、息(呼気ガス)の中の成分や皮膚からの排泄成分で体の健康状態や肌の様子を簡易・迅速に知ることが可能である。息を吹き込むか頭皮などからの排泄成分を局所ガス捕集機で集め、0.2ml程度のサンプルをブレスマスに注入すると、約10秒で微量なガス成分を高感度(〜1ppm=0.0001%)で測定・分析できる。

農業分野では、野菜や果物の品質や寿命など、安心・安全を確認することができる。ビニール袋に入れた農産物から取り出したにおいのサンプルで成分や含有量を分析する。この結果から鮮度を数値で明示し、農作物に付加価値をプラスすることで販売効果を挙げる例も出てきている。サンプルの農作物も食べられるため、抜き取りではなく全量検査ができる。他に、醸造・畜産・漁業分野などの応用が期待される。

さらに固体中含有ガス量測定装置「グラビマス」や突出ガス測定装置「ボルケスター」では金属中の不純物を計測することで品質の安全性を分析でき、自動車などの工業分野においても品質管理に成果を発揮している。


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