福島第一 通電可能まで復旧 3号機中央操作室に照明点灯 通電試験を実施中 冷却の海水注入は続行

東京電力の福島第一原子力発電所では、自衛隊などによる使用済み燃料プールへの海水注入を続ける一方、外部からの仮設電源ケーブルがプラントに接続され、1号〜6号全号機に通電可能な状況になった。各電気機器の通電試験などを行い、今後、復旧作業を急ぐ。3号機では22日22時45分に中央操作室の照明が点灯した。5、6号機もすべて外部電源に切り替えが完了し、1号機についても原子炉圧力容器への注水ラインに、「給水ライン」が追加された。政府は21日、第13回東北地方太平洋沖地震緊急災害対策本部と第11回原子力災害対策本部会議の合同会議を首相官邸で開き、菅直人首相は挨拶の中で、「危機的状況を脱する光明が見えてきた」と述べ、関係者の懸命の努力により、緊急を要する最悪の状況からは、少しではあるが脱しつつあるとの認識を示した。

政府による「原子力緊急事態宣言」発令から6日経過した17日朝、福島第一では、前日に原子炉建屋からの白煙大噴出のあった3号機に、陸上自衛隊ヘリから放水開始、ヘリからの計4回の放水に続き、これまでに、自衛隊の消防車、警察機動隊の特殊放水車、米軍高圧放水車、東京消防庁のハイパーレスキュー隊などによる地上からの放水も実施された。23日10時までの放水量は、最も多い3号機で累計3900トンにも達した。

被害拡大を抑える大きな焦点となっている使用済み燃料プールの冷却作業では、4号機でも自衛隊や米軍提供の消防車の他、22日には、建築用コンクリートポンプ車による放水も行われた。

電源復旧に関しては、いずれも20日に冷温停止となった5、6号機が21、22日にそれぞれ、非常用ディーゼル発電機から外部電源に切り替えた。2号機では21日、4号機では22日にいずれも受電完了、21日に灰色がかった発煙があり、事態が案じられた3号機も22日夜、中央操作室の照明点灯にまで回復した。2号機から受電する1号機でも機器の確認が進められている。

大地震発生時に停止中だった4号機を除き、原子炉に燃料が装荷されている1〜3号機では、冷温停止状態とすることが求められており、海水注入が実施されている。

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原子力安全・保安院は18日、福島第一発電所事故に対するINES暫定評価を1〜3号機で「レベル5」、4号機は「レベル3」とした。レベル5は、79年の米国TMI事故が相当し、国内で発生したトラブル事象ではJCO事故の4を超え、最も重い原子力事故となった。世界ではチェルノブイリ原発事故がレベル7で最も深刻。

福島第二発電所については、1、2、4号機でINES暫定評価「レベル3」としている。


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