中国 原子力開発計画で 新規計画承認に慎重期す

中国の温家宝首相は16日、自らが議長を務める国務院常務会議で、原子力発電所新設プロジェクトに対する承認を暫定的に停止するなど、国内原子力発電開発計画に慎重を期す方針を打ち出した。

東京電力の福島第一原子力発電所事故を重く受け止めた上での措置だが、中国環境保護省の張力牢副大臣は12日の全国人民代表大会後の記者会見で、「福島事故の教訓は中国の原子力発電開発戦略や計画の中でしっかり吸収し、学ぶつもりだが、開発計画における我が国の決定が変更されることはない」と発言。拡大に向けた基本路線に大きな変更はないと見られている。

同事故による中国国内の影響について、国務院常務会議は国家核安全局による環境モニタリングの結果、異常な放射線影響は発見されなかったこと、国内で稼働する原子炉もすべて、安全な状態にあることを確認した。

また、国家核事故緊急調整委員は福島原発から大気中および海水中に拡散された放射性物質が、中国人民の健康に影響を及ぼすことはないと明言している。しかし、原子力発電所で安全を確保する重要性と緊急性を最大限に理解するとともに、改めて安全性を原子力発電開発における最優先事項とする必要があると強調。同常務会議として次の4つの方針を決定した。

すなわち、(1)原子力施設の安全性を包括的に検査する組織を早急に立ち上げ、徹底した安全評価・調査活動を通じて万全な対策を講じる(2)設備ごとに運転管理のための厳格な規則を定める一方、監督官庁による管理・検査を強化し、潜在的な危険を特定・排除する(3)すべての建設中原子炉を最新の安全基準に照らし合わせて包括的に審査し、クリアしていない案件は工事を直ちに停止する(4)安全確保のための準備に細心の注意を払うなどして新設プロジェクトの承認を厳しくする。建設前準備工事の承認を暫定的に停止することも含め、長期的な原子力発電開発計画や計画承認を調整する――だ。


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