ドイツ 炉の運転期間延長を一時凍結

福島第一原発事故発生の情報を受けてドイツのA.メルケル首相は17日、事故原因が詳細に分析解明されるまでは、昨年10月に連邦議会で可決した国内原子力発電所の運転期間延長法の執行を3か月間凍結するとし、1980年以前に運開した古い原子炉7基は包括的な安全審査のため操業を一時停止すると発表した。電力供給における原子力の有効性を認めながらも、再生可能エネルギー中心の供給体制への移行を一刻も早く進めざるを得ない状況。3か月の間に今後のエネルギー政策について、あらゆる側面から詳細調査を実施する考えだ。

メルケル首相は声明の中で、ドイツの原子力発電所の安全性は世界でもトップクラスであり、国内電力需要を賄わねばならない以上、原子力発電を直ちにやめることはできないと明言。しかし、原子力が再生可能エネルギー時代への橋渡し技術である点は明確であり、その安全性に疑いが生じた場合の原則として、運転期間延長のモラトリアムはやむなしとしている。

これに伴い、操業の一時停止を命じられた原子炉7基のうち、ネッカー1号機を有するバーデン=ビュルテンブルク州のS.マップス首相が、15日の緊急議会で同炉を永久閉鎖する方針を明らかにしている。

なお、同日、与党CDUは政府に対する勧告として、次のような項目を含めた決議文を採択した。すなわち、(1)原子炉の安全基準を包括的に検証し、独立の立場の専門家委員会が日本での事象――特に冷却系と外部インフラ、その他の異常シナリオ等について、リスク分析を実施する(2)同委の作業結果に基づき、必要であれば安全基準を速やかに改訂し、その効果的な実施を運転員らに指示する――などだ。


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