欧州連合 加盟国の143基で安全試験

欧州連合(EU)は17日、加盟国が保有する原子炉143基について地震や洪水等のリスクに対する健全性試験と安全試験を今年の後半中にも実施する方針を明らかにした。

これは15日と16日に緊急招集された欧州議会のエネルギー委員会と環境委員会で出された結論だが、議論の中では、「将来の長期的なエネルギー政策を変更してしまう前に、欧州は落ち着いて福島第一原発事故の正確で詳細な情報を収集することが先決」、などとする冷静な意見が相次いだ。EUの今後のエネルギー構成要素の分岐点となるか否かについては意見の一致を見ていない。

欧州委員会(EC)エネルギー委員長のG.エッティンガー氏によると、これらの試験は地震と洪水のほか、航空機衝突、テロ攻撃、冷却系とその安定性、およびバックアップ電源の機能停止等に関するリスクを考慮したものとなる。4月下旬の復活祭までにECが試験の実施基準案を欧州議会議員に提出し、6月に最終決定。原子炉の稼働年数と立地地点を勘案して年内に実施する。

その結果、既設原子炉の早期閉鎖や新規建設のモラトリアムという事態になった場合でも、EUは助言を与えるに留まり、それらの最終判断は加盟各国の政府と国民に委ねられる。


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