女川原発 復旧にはまだ時間 津波被害で町民避難

3月11日の東日本大震災で、甚大な被害を受けた宮城県の女川町――。

東北電力の女川原子力発電所1号機〜3号機の全3基が、地震発生に伴い14時46分、原子炉は自動停止した。1、3号機が通常運転中。2号機は原子炉起動中だったため、地震時から原子炉内の温度は100℃未満だった。現在は、外部電源により、3基とも100℃未満の冷温停止の安定状態を保っている。

原子炉自動停止による排気筒モニタ、モニタリングポストに変化はなく、環境への放射能影響はなかった。12日夜に一時的に最大21μSv/時を検出したが、これは福島第一原子力発電所からのものとみられる。

観測した加速度は567.5ガルで、耐震設計上の580ガルを下回った。地震の影響では、1号機で起動変圧器の故障で外部電源の供給が停止し、非常用ディーゼル発電機が自動起動した。またタービン建屋地下で発煙があり、その後、消火した。また、屋外重油タンクが倒壊。2号機の燃料交換機制御室の窓ガラスは割れ、原子炉建屋地下3階の非管理区域にある原子炉補機冷却系の熱交換機室に海水が浸水。補機冷却水ポンプ・モータと高圧炉心スプレイ補機冷却水ポンプ・モータも浸水した。1〜3号機とも燃料プールの水が床面にあふれ、2、3号機の燃料プール内に異物が確認された。

女川原子力発電所は、主要施設が比較的高い位置にあり、想定津波も9.1メートルとしていたことが、津波被害を少なくしたものとみられる。

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東京電力の福島第一、第二原子力発電所は、各々半径20キロメートル、10キロメートルと退避指示が出されているため地元に近づくことはできないが、3月31日、原産協会職員が山形空港から仙台市内、石巻市を経て、震災後約3週間が経過した女川町にタクシーで入った。羽田空港からは毎日1便の定期便と震災時の輸送のため臨時便4便が飛んでいるが、いずれも満席が続いている状態。

女川町全体も15メートルを超える津波で壊滅的な被害に合い、現在は電源三法交付金で建設した3階建てでグランドも広い町立体育館を避難所としており、女川町役場も女川第二小学校を仮設町役場としている。町立体育館のグランドは自衛隊のヘリポートとしての活用やトラックの駐車場として利用されている。

安住宣孝町長の自宅も津波で流されてしまい、住民と避難所で寝泊まりしながら陣頭指揮を執っている。

女川市街にある東北電力の女川発電所地域総合事務所も、書類がすべて流され、2階には別の場所からグランドピアノが流れ着いていたという、生々しい状況だ。

地元関係者からは、「これまで地元で『原子力は安全である』と言ってきた。しかし、これからは今までどおりにはいかない。どのように説明していくか、難しい」、「経済が下方になると復興も遅れてしまう。長期的視点で復興支援を願いたい」などの声が聞かれた。


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