米議会のマーキー民主党議員 新設モラトリアム法案を提出

オバマ大統領の意向とは裏腹に、同じ民主党のE.マーキー下院議員は3月29日、国内原子炉の安全要求項目に福島第一原発事故の教訓が組み込まれるまでは、既設原子炉の運転期間延長、および新規原子炉建設計画の許認可にモラトリアムを課すよう定める法案を議会に提出した。

下院のエネルギー関係委員会メンバーでもある同議員は反原子力派の中心的存在で、TMI事故発生前にも同様の法案を提出した経歴の持ち主。議会では上院でも、民主党議員が使用済み燃料を早急に乾式キャスクに移すよう規制当局に要請するなど、原子力への逆風はオバマ政権の与党内部から強まりつつある。

マーキー議員が提出した「2011原子力発電所安全法案」は、地震や津波、暴風、長時間の電源喪失などの事象に対し、原子炉と使用済み燃料プールが適切な耐久性を持つよう保証することを目指したもの。

まず、各原子力発電所が長時間の電源喪失に耐え得る緊急時システムと対策を備えるよう要求。特に、現在多くの発電所で設置されている7日用ディーゼル発電機を14日用とするほか、4〜8時間しか保たないバッテリーを72時間用に替えるよう求めている。使用済み燃料プールについては、燃料が十分冷却され次第、早急に安全な乾式貯蔵キャスクに移すよう義務付ける考えだ。

また、新規原子炉建設計画に関しては、政府の融資保証を与える際のリスク計算で、米エネルギー省(DOE)は福島事故の教訓を組み込まねばならないと言明。地震活動が盛んな地域での新設計画はすべて、電源が長時間失われた場合の緊急時対応やバックアップ電源などに、余裕のある設計であることを徹底的に審査するまではモラトリアムを課す必要があるとしている。


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