ロシアの世論調査 40%が原子炉の削減を希望

福島第一原発事故後にロシアの世論調査機関が実施した原子力関連の世論調査で、回答者の3分の2が「ロシアの環境に何らかの悪影響が及ぶ」との怖れを抱いていることが明らかになった。

また、原子炉の削減を求める国民の割合が昨年調査から26ポイント増の40%に跳ね上がるなど、28基・約6600万kWの原子力設備を有し、半世紀以上の利用実績があるロシアでも、その安全性に対する懸念は急速に高まっている。

ロシアの大手市場調査および世論研究企業である世論調査研究センター(VCIOM)が3月26日から2日間、46地方の138区域在住の国民(18歳以上)1600人を対象に行った調査では、主に福島第一原発事故に関する認識について質問した。

それによると、回答者の64%が同事故を「不可抗力の天災」と認識していた一方、26%は「人類が自然や気候、地形に干渉したため引き起こされた」と考えていた。また、66%は福島事故がロシアの環境に悪影響を及ぼすと危惧しており、「何の影響もない」とした24%の倍以上に達したことが判明している。

また、VCIOM幹部が2002年に創設したNGOの「レバダ分析センター」は3月18日から4日間、45地方の130区域に住む1600人(18歳以上)を対象に、主としてロシアの原子力開発に関する意識調査を実施した。

その結果、「原子力を積極的に開発」、あるいは「現状レベルを維持すべき」と回答していた住民の割合は昨年調査の74%から54%に低下。その一方、「原子炉を減らす(27%)」と「原子力を完全に放棄する(13%)」とする回答は、昨年調査の合計14%から40%に増加している。

さらに、「人類にとって最も危険なものは?」という設問には、06年の前回調査で「環境汚染とそれに伴う地球温暖化」という回答が最も多かった(40%)のに対して、今年の調査では「原子力」と答えた回答者が26%と、最多で27%の「環境汚染」とほぼ同率だった。


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