保安院 震災踏まえ安全対策指示 緊急時の電源確保強化

原子力安全・保安院は、今般の原子力災害を踏まえ、他の発電所に関する緊急安全対策を指示するとともに、事業者による対応状況を、概ね今月中目途に確認することとした。

福島で発生した原子力災害については現在なお、事故収束に向け、対応中だが、保安院では、今般の巨大地震で、福島第一発電所に甚大な被害を与えた大津波の発生メカニズムを含め、事故の全体像を把握し、分析・評価を行い、これらを踏まえた抜本的な対策を講じることとした。

緊急時安全対策では、原子力災害の発生・拡大の直接的要因を、地震に付随して発生した津波による(1)緊急時の電源(2)熱を最終的に海中に放出する海水系施設(3)使用済み燃料貯蔵プールの冷却――の3つの機能の喪失とした上、津波でこれらを失ったとしても、炉心損傷や使用済み燃料の損傷を防止し、放射性物質の放出を抑制しつつ、冷却機能の回復を図るよう、省令を改正し、全原子力発電所に対し、6項目からなる安全対策の強化を求めた。

具体的要求事項としては、(1)津波に起因する緊急時対応のための機器・設備の緊急点検(2)緊急時対応計画の点検と訓練(3)緊急時の電源確保(4)緊急時の最終的な除熱機能の確保(5)緊急時の使用済み燃料貯蔵プールの冷却確保(6)各サイトにおける構造等を踏まえた当面必要となる対策――となっている。

保安院は4月中を目途に、事業者から提出される緊急安全対策の実施状況を厳格に確認するが、中長期的対策として、今後の専門家による事故調査等を通じ、「想定すべき津波高さ」を考慮した災害発生を防止すべく、防潮堤設置などの設備面での対策も講じていくこととしている。

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保安院は10日、7日夜に宮城県沖で発生した地震(最大震度6強)により、東北電力東通発電所1号機(定検により停止中)で、3台設置されている非常用ディーゼル発電機が、点検、油漏れにより、いずれも動作しない状況となったことから、原子炉が冷温停止中であっても、2台以上の非常用ディーゼル発電機を使用可能な状態で確保するよう事業者に対し、保安規定変更を指示した。


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