東電が福島第一事故収束の工程表発表 約3か月で安定冷却めざす 政府、安全委の意見求め 6〜9か月後に帰宅判断

東京電力は17日、福島第一原子力発電所の事故収束に向けた「当面の道筋」を取りまとめた。同日、勝俣恒久・同社会長らが本社にて会見を行い発表したもの。事故発生からおよそ1か月経た現在、1〜4号機では、原子炉および使用済み燃料プールの安定的冷却状態に至っておらず、また、周辺住民に対する避難や屋内退避の指示が出されており、国、事業者ら総力挙げ、災害の規模を抑えるべく、懸命の努力が注がれているところ、同社が事態収束に向け、タイムスパンを持った計画を戦略的に示すのは初めてのこと。

このほど東京電力が示した「道筋」では、避難住民の帰宅実現、国民の安心を目指し、「ステップ1…放射線量が着実に減少傾向になっている」、「ステップ2…放射性物質の放出が管理され放射線量が大幅に抑えられている」の2段階の目標を設定し、「ステップ1」を3か月程度、その終了後、「ステップ2」を3〜6か月程度を目安に達成することを掲げている。

具体的取組としては、「冷却」、「抑制」、「モニタリング・除染」の3つの分野、それらをさらに細分化した「原子炉の冷却」、「使用済み燃料プールの冷却」、「放射性物質で汚染された水(滞留水)の閉じ込め、保管・処理・再利用」、「大気・土壌での放射性物質の抑制」、「避難指示/計画的避難/緊急時避難準備区域の放射線量の測定・低減公表」の5つの課題ごとに目標を設定し、諸対策を同時並行で進めていくこととしている。

作業安全上、最大の課題となっている放射能汚染水については、「集中廃棄物建屋」など保管場所を複数確保するほか、汚染水を処理する施設を設置し放射線レベルを低くする。

使用済み燃料プールの冷却については、コンクリート注入用の特殊車両による注水を継続し、通常の冷却ラインからの淡水注入が実施されている2号機も循環冷却機能を付加した上で注水継続、その他の1、3、4号機にも冷却ラインの復旧を検討する。

大気への放射性物質の抑制については、最終的に建屋全体を覆うことを検討している。

◇   ◇

東京電力の工程表の発表を受け、海江田万里経済産業相は同日、「大事な一歩」とした上で、「『応急措置の段階』から、しっかりとした道筋のもとで計画的に事態の収束を目指す『計画的・安定的な措置の段階』に移行」されることを期待した。

また「ステップ2」終了時には、原子力安全委員会の意見を求めた上で、速やかに計画的避難区域や緊急時避難準備区域の見直しを行うこととしており、これにより今後、6〜9か月を目標に、一部地域住民の帰宅の可否判断を目指すとした。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで