元安全委長ら 「緊急建言」発表 早急に冷却機能回復を

松浦祥次郎・元原子力安全委員長や田中俊一・前原子力委員長代理ら原子力の研究開発に携わってきた有識者16名が連名で、「福島原発事故についての緊急建言」を取りまとめ発表した。

建言では、まず「原子力の平和利用を先頭だって進めて来た者として、今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝する」と述べている。

その上で、現状懸念される広範で深刻な放射能汚染を回避するためには、「一刻も早く電源と冷却システムを回復させ、原子炉や使用済み燃料プールを継続して冷却する機能を回復させることが唯一の方法である」と強調。

放出放射能については、「現時点で一般住民の健康に影響が及ぶレベルではない」としながらも、「住民避難に対する対策は極めて重要な課題」と指摘している。

事故の終息については、「燃料の冷却状況を安定させ、内部に蓄積されている大量の放射能を閉じ込めること」にかかっており、「極めて困難な仕事であるが、これを達成できなければ事故の終息は覚束(おぼつか)ない」としている。

さらに原子炉内の核燃料、放射能の後始末は「極めて困難で、かつ極めて長期の取組みとなる」と指摘、この場合にも放射線分解で発生する水素ガスの対策を怠ってはならないと注意喚起。

この難局を乗り越え、長期的に危機を増大させないためには、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、関係省庁に加えて、原子力機構、放射線医学総合研究所、産業界、大学などを結集し、「国を挙げた福島原発事故に対する強力な体制を緊急に構築することを強く政府に求める」と要求している。


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