BRICSの新興5か国 原子力の推進継続を確認

ブラジル、ロシア、インド、中国、および南アフリカの5か国(国名の頭文字から通称=「BRICS」)は14日、中国海南省・三亜で開催した第3回首脳会合後に「三亜宣言」を採択し、5か国が原子力の利用を今後も継続的に推進していくことを確認した。福島第一原発事故により、世界中で原子力への懸念が高まる中、経済成長を持続しつつ地球温暖化に対処するためには、原子力の開発利用が最も有効との見解で一致、安全性の強化など新たな決意で原子力推進に臨む考えだ。

今年から南アを加えたBRICSは「広大な国土に豊かな天然資源」という共通特徴を持つが、人口大国というもう1つの共通事情の下で持続的な経済発展を支えていかねばならない。このため、将来的にも原子力はBRICSのエネルギー・ミックスにおける重要要素であり続けると改めて認定したもの。

ただし、原子力平和利用を安全に進めていくための国際協力は、原子炉の設計、建設および操業に至るまで安全基準や要求項目の遵守が厳格な監視下にあることを条件に実施していくべきだとしている。

インドのM.シン首相は首脳会合の席で、「我々は持続可能でバランスの取れた発展という概念に具体的な意味を付与する機会を得た。すなわち、クリーンな代替エネルギー源とその技術開発で協力していくことだ」と述べて原子力開発の重要性を強調。その上で、「日本での災害発生後、原子力安全は世界中で大きな懸念の的となったが、我々は災害復興や管理面だけでなく、この分野でも協力していくだろう」との決意を明らかにした。

ロシアのD.メドベージェフ大統領は会合後の記者会見で、日本で起きた福島第一原発事故が日本のみならず他国にも影響を及ぼしている点について、「原子力発電所の運転に関する国際的な規制の改訂が重要だ」と言明。既存の国際法規はこのような災害に対する規制をほとんど何も含んでいないとし、国境を越えて他国に影響する災害については特に、天災・人災に拘わらず発生防止と封じ込めのための国際的な規制メカニズムを創設する必要があると訴えた。


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